バンダイナムコエンターテインメント様と
プロのクリエイターも唸るプログラムを開発・実施

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株式会社バンダイナムコエンターテインメント
NE事業部事業戦略部マネージャー
※本プログラム実施時は経営企画部 武田 達弥様
“センス”を超えて、新しい価値を生み出す力を紐解きたい
―プログラムを企画するにあたっての課題感を教えてください。
10年、20年と稼ぎ続けられる、強いIPを生み出せる人材や、0→1で新しい事業を創出できる人材を育成したいという課題意識がありました。
当時、社名がバンダイナムコゲームスからバンダイナムコエンターテインメントヘと変わり、ゲームの枠にとらわれず新たなエンタメを創出して、事業化できる“事業創造人材”の育成が求められていました。こうした背景から、新たな人材要件が策定されたのです。

私自身、かつてプロデューサーとして苦い経験をしたことがあります。当時、一緒に働く先輩たちが優れていることは理解できても、なぜ彼らがすごいのかを言語化できず、何をどう学べばいいのかも分からない状態でした。「挑戦しろ」と言われて提案をしても、0点扱いでやり直しを命じられることもありました。プロデューサーとして必要な能力は、しばしば“センス”という言葉で片付けられてしまいます。
そんなブラックボックスを解き明かし、「こうすればよかったんだよ」と、当時の自分に伝えられるような考え方や心構えといった“武器”を、若手にも与えたいという想いがありました。かつての自分を重ねながら、20代の若手たちが成長し、自分のやりたいことを実現できるよう支援したいと考えていたんです。
―デルタスタジオにお声がけいただいたきっかけは?
新しい人材要件は策定されたものの、その内容が現場で具体的にどういう意味を持つのか、十分に理解・咀嚼されているとは言えない状況でした。文章としては存在するものの、「これってどういうこと?」と解像度が低かったのです。
そんな中、当時の役員から「デルタスタジオさんであればこのテーマで力になってくれるのではないか」と名前が上がっており、私自身も皆さんにお会いして「デルタスタジオさんならきっと面白いものができるはず」と感じました。
何社かに声をかけさせてもらったのですが、多くは既存のコンテンツに当てはめる形での提案が多くて…
一方で、デルタスタジオさんは我々の課題意識に寄り添い、新しい人材要件に真っ向から向き合って、ゼロからプログラムを考えてくださる姿勢を感じました。
そこが、他社とは決定的に異なる点でした。
情熱に火をつけ、武器を与え、実践する
―具体的なプログラム内容を教えてください。
対象は弊社の未来を担うことを期待される20代後半の社員たち。選抜型のプログラムを半年間にわたって全6回実施しました。
前半では、エンタメ業界特有のクリエイティブ力やプロデュース力―いわゆる“センス”として片付けられがちなスキルを形式知化し、再現性のある形で身につけてもらうことを目指しました。
後半は一転して、ロジカルシンキングやデザインシンキング、戦略、マーケティング、ファイナンスといった、事業創出に必要なポータブルスキルを徹底的に鍛える内容になっています。
また講義に加えて、社長や社内で活躍するクリエイターやマーケターをゲストとし招き、セッションや質疑応答を通して現場のリアルな知見や熱量に触れる機会も用意しました。
当時の社長宮河も「エンタメ業界はじっとしていたらすぐに潰れる。挑戦しない人を評価しない」「仕事には“散らかし屋”と“片付け屋”の両方が必要だが、うちの会社にはもっと“散らかし屋”がいてもいい。」といった強烈なメッセージを発信されていて、いい刺激になったのではないかと思います。
エンタメはいくつもの挑戦と失敗の中から、爆発的なヒットが生まれる構造です。
だからこそ、このプログラムを通じて、新しいことに挑戦する気運を高めていきたいという想いがありました。
―まさに次世代を担うリーダーの情熱に「点火」し、必要な「武器」を与える構成ですよね。さらには「実践」も一つのポイントだったかと思います。
そうですね。研修間の課題も設けていただいていて、日常や仕事の中でも常にアンテナを張ってインプットし、そこからの意味合いをアイデアへとつなげていくことを後押ししていました。
さらに、プログラムの集大成としては、学んだことを活かして「新しい事業創出」に挑戦し、その成果を役員に向けてプレゼンする場も設けられていました。学びで終わらせず、行動につなげる一ーそんな仕掛けが組み込まれていました。
「ここまでやるのか!」毎回驚かされる、妥協なき開発力
―デルタスタジオとのお仕事で印象に残っていることは?
妥協が一切なく、常にこちらの期待を超えてくれるところですね。例えば、人材要件の中にある「スタンス」「インプット」「スループット」といったキーワードを、徹底的に深掘りして言語化していただいたんです。
私たち自身でも気づいていなかったようなことを、逆に教えていただけるほどまでに思考を深めてくださり、「こんな視点があるのか!」と、毎回驚きの連続でした。
―プログラムを開発する際には、まず徹底的にインプットを行います。本案件でも、100冊近くの書籍を読みこんだほか、Nintendo SwitchやPlayStationをはじめとするゲームから、たまごっちなどのおもちゃまで、実際にプレイしながらこだわって開発しました。
大ヒットIPの生みの親である田尻智さんをはじめ、秋元康さん、佐藤雅彦さん、村上春樹さんなど、さまざまなジャンルのクリエイターの思考をインプットし、それらを咀嚼し、理論化して、刺さる言葉に落とし込んでくれる。ここまでやってくれるのは、正直デルタスタジオさんしかいなかったと思っています。しかも、単に知識をインプットするだけではなく、自らも実際に試してみて、納得したうえで講義や演習に落とし込んでくれるんです。自分自身で取り入れてみて、その必要性を実感し、実際に「できる」からこそ説得力があり、受講者にも深く響くのだと思います。

成長の角度を変え、新たな挑戦を生み出した半年間
―実施後の反応や手応えについて教えてください。
受講者たちからは「自分は同年代の中ではできるほうだと思っていたけれど、社長や社内の偉大な先輩たち、講義で登場する一流のクリエイターの言葉に触れる中で、自分がいかに足りないかを痛感した」「もっとやらなきゃ、挑戦しなきゃという気持ちになった」といった声があがっていました。また、社長をはじめとした“挑戦を後押しする”メッセージに感化されて、行動に移してくれた人たちもたくさんいました。例えば、企画書を1年間で10本以上つくって提案してみたり、トリプルAタイトル(莫大な開発費を投じて作られるゲームのこと)の立ち上げに向けた提案をして実際に通したり、新規事業の立案にチャレンジしたり。
学んだことをすぐに活かしてくれたのが嬉しかったですね。
受講者だけでなく、一緒に開発に携わった私たち自身も、このプログラムを通して大きく成長させてもらったと感じています。
実は咋年、一緒に担当していたメンバーが、世界的大ヒットゲームの担当者として、バンダイナムコグループ全体で表彰されました。プログラム開発の中で得た学びや経験が、そうした成果にもつながっているのではないかと思っています。
―最後に、デルタスタジオの強みは何でしょうか?
デルタの強みは、講師・研修開発者が突き抜けて優秀なこと。
受講者の中でも「講師がすごかったよね」と話題になります。
開発にあたっては、妥協が一切なく、常にこちらの期待を超えてくれます。モヤモヤしていたことを誰もが理解できる形に言語化してくださるだけでなく、異なる角度から、より広い視点を与えてくださるなと。プログラムの提案が来るたびに、「今回はどんなことを持ってきてくれるんだろう」と楽しみにしていました。

そしてストイックな姿勢です。これだけの力を持ち、素晴らしいコンテンツを提供してくださるにもかかわらず、「私たちは実際にプロデューサーやマーケターとしてエンタメを作っている訳ではない。だからこそ、御社で成果を出している方にも登壇してもらった方が、受講者に伝わるはずだ」と、自ら提案してくださいました。
大量の書籍を読み、偉大な先人たちの思考を深く研究されているにもかかわらず、それでもなお「自分たちだけでは足りない」という意識を持ち続けていらっしゃる。この謙虚でストイックな姿勢が、とても印象的でした。