#選抜型 変わるリーダー
次期社長候補育成をきっかけに生まれた
本当に“変わる”リーダープログラム
※変わるリーダープログラムについて、弊社代表渡辺へのインタビュー形式で紹介します。
某上場企業
  • 株式会社デルタスタジオ代表 渡辺 健介
  • 株式会社デルタスタジオ 市瀬 佑理(インタビュアー)

学んだ気になって終わらない。
本当に“変わる”研修を

―本プログラムは様々な企業で実施されていますが、どのようなきっかけで始まったのですか?

渡辺

企業名はお出しできないのですが、きっかけはある上場企業の経営陣から「次期社長候補を鍛えてほしい」という依頼をいただいたことでした。
受講者の方々は過去にもリーダーシップ研修を何度も受けており、“研修疲れ”を起こしている状態。従来のありがちな研修ではなく、本当に効果のあるプログラムが求められていました。
そんな中、以前読んだスタンフォード大学のジェフェリー・フェファー教授が書いた『Leadership BS』という本を思い出したのです。

―BSとはBullshitという英語のスラングで「嘘っぱち」という意味ですね

渡辺

そうです。この本によると、米国では毎年約5兆円がリーダーシップ研修に投じられているにもかかわらず、実際に「効果がある」と感じている経営陣はわずか8%に過ぎないそうです。
教授はさらに「受講者を“いい気分”にさせるだけの研修では意味がない」「何事も変化を測定し、その結果責任を問わなければ変わらない」と指摘しています。
実際、ほとんどの研修で、人事部は受講者の満足度評価しか測定していません。我々の研修は、他社と比べても、満足度の評価が高いので、人事部も我々もそれはそれで楽なのですが・・・笑。
この本を読んでから、それでいいのだろうか、とずっと頭に引っかかっていたのです。
そして、もう一つのきっかけとして、ちょうど依頼をいただいた頃、私自身が健康のために生活を見直そうと、2ヶ月限定でトレーナーをつけていたのです。その経験から、正しいトレーニング方法を学び、変化を測定することの重要性、さらにはトレーナーがいるからこそ続けられる、ということを身をもって痛感したのです。そんな背景もあり、経営陣に「もう学んだ気になって終わりの研修はやめましょう。本当に変わるためのプログラム、例えるなら“RIZAP”のようなプログラムをやってみましょうよ!」と提案したところ、「面白い!ぜひ!」という返答をいただいたのです。
こうして、本当に“変わる”ことを目指すプログラムが始まりました。

測る・鍛える・伴走する一
3ヶ月の短期集中プログラム

―具体的なプログラム内容を教えてください。

渡辺

ダイエットでも成果を出すには、まずは体重計に乗って“測る”ことからはじめますよね。しっかりと変化を測定し、可視化することでモチベーションも生まれます。このプログラムでも、研修の前後で上司・部下・同僚による360度サーベイで受講者のリーダーシップの変化を計測しました。
そして、成功基準は非常にシンプル。3ヶ月でより良いリーダーになったかどうか、360度サーベイでYES/NOを測定するのです。

もちろん変わるには、日々“鍛える”ことが重要です。筋トレに正しいフォームがあるように、リーダーシップにも型があります。学術研究や古典など、世の中にある先人の知を生かさなければもったいない。そこで、研修でリーダーシップ理論を学び、その学びをすぐに現場で実践してもらいます。
そして、一人でストイックに努力し続けるのは難しいので、トレーナーが“伴走”します。このプロジェクトでは講師がトレーナーでしたが、受講者同士でピアコーチングを行うこともあります。
この“測る”、“鍛える”、“伴走する”という仕組みで3ヶ月の短期集中型で変わることを実現します。3ヶ月と聞くと短く思われるかもしれませんが、3ヶ月で変わろうとしない人は、いつまでも変われないものです。

リーダーとしての行動を“ベンジャミン”で習慣化

―プログラム中、“ベンジャミン”という言葉を耳にしますが、具体的に何を指しているのでしょうか?

渡辺

“ベンジャミン”は行動変容を習慣化するための仕組みのことです。アメリカの100ドル紙幣の顔にもなっている、ベンジャミン・フランクリンの習慣が由来です。彼は節制、勤勉、清潔など13個の徳目を掲げ、毎週ひとつずつ意識することを生涯続けたそうです。そして、これを成功の秘訣として自分の子や孫に伝えていました。このプログラムでは、ベンジャミンに倣って、受講者は毎週ひとつ、よりリーダーシップを発揮するための具体的なアクションを設定し、現場で実践します。

わかりやすい身近な例で説明すると、ある受講者は360度サーベイで「人間味がない・コミュニケーションが雑」という指摘を受けました。そこで、ベンジャミンのひとつとして、「メールに感謝や気持ちを込めた言葉を入れる」ことを掲げました。
そして、普段は「了解」だけのそっけない返信に「いつも丁寧な仕事、ありがとうございます」という温かい言葉を加えたのです。すると受け取った相手からは「ありがとうございます!本当に涙が出そうです」という感謝の言葉が返ってきました。この反応に受講者は手応えを感じていました。

―日々の小さな行動の積み重ねが、リーダーとしての信頼や影響力につながるのですね。

渡辺

はい、ちょっとした変化でも想像以上に周りの人は気づくものです。
たとえば、家庭でも普段感謝の言葉を伝えない人が「ありがとう」と言うようになったら、それだけで「あら!どうしたの?」となりますよね。
そして、このプロジェクトでは、受講者が次期社長候補ということで、100人以上の組織長の方もいました。そうすると、日々の会話やメールといった1対1のコミュニケーションの他に、組織全体への働きかけも必要です。
そこで、ビジョンを自らの言葉で部全体に話したり、さらには、部として目指す姿をチームみんなで議論する場を設けていただきました。チームで議論する過程を通じて、メンバー同士の相互理解や、ビジョンの自分ごと化が促され、一体感が生まれました。このように、様々な手を使い試行錯誤をしながら、3ヶ月間行動を続け、1つでも2つでも習慣化することこそ、リーダーとして本当に“変わる”ことにつながるのです。

社長の前で結果をプレゼン。92%が変わった!

―結果はどうでしたか?

渡辺

今回のプロジェクトでは、最終回に社長をはじめ経営陣の前で受講者がプレゼンテーションを行いました。「3ヶ月で私はこう変わりました」ということを自らの言葉で語ってもらったのです。

―社長や経営陣の前でのプレゼンは受講者にもプレッシャーがかかりますね。

渡辺

そうですね。そこが肝です。結果が明確に出るので、受講者は日々現場で実践するよう追い込まれるわけです。
さらには人事部、なにより我々自身にもプレッシャーがかかります。まさに「変化を測定し、その結果責任を問う」プログラムなのです。
結果としては非常に良い成果が出ました。360度サーベイで平均92%の評価者が「受講者は3ヶ月でより良いリーダーになった」と回答し、経営陣も非常に喜んでくださいました。
そして、最初は「またリーダーシップ研修か…忙しいのに面倒だな…」という反応だった受講者も、楽しみながら、真剣に3ヶ月を取り組んでくださいました。
リーダーシップというと、ふわっとしていて、売上や利益のように定量化されないものですが、その変化が具体的な数値として表れることで、これまでの研修にない手応えとやりがいを感じていただけたのです。
そして、受講者の皆さんは「思っている以上に、周りは自分のことをよく見ているんだ」と口をそろえて言っていました。自分が変われば、周りもそれに気づいてくれる、という実感を得たことは、受講者にとってモチベーションにつながったようです。

―プログラム終了後に元に戻ってしまうことはないのでしょうか?

渡辺

せっかく変化が見られても、ダイエットと同様リバウンドしてしまっては意味がありませんよね。そこで、プログラム終了から2ヶ月後、再度360度サーベイを実施し、変化が持続しているかを確認しました。すると「リーダーシップはリバウンドしていない」と回答した人が平均94%にのぼりました。
3ヶ月の成功体験を通じて、確実に行動変容が定着したことがわかります。
なお、このプログラムの数年後、当時受講者の上司だった副社長の方と話す機会があったのですが、「あのプログラム以来、彼は本当に変わったんだよ!」と嬉しそうに語ってくださいました。
そして、このプログラムに参加された4人中2人が現時点で既に役員に昇進しています。
たかが3ヶ月、されど3ヶ月。プログラムを通じて、受講者に少しでもいい影響を与えられたと思うと嬉しいですね。

我々は元々「教育を変えたい」という想いから始まった会社です。子供から大人まで、表面的ではなく意義あるプログラムを届けることがミッションですので、“変わる”プログラムには大きな手応えを感じています。
そして、この“変わる”仕組みは、リーダーシップに限らず、より良いビジネスパーソンになるために様々なテーマで活かせるメソッドです。リーダーシップを皮切りに、変わる会議、変わる営業、変わるロジカルシンキングなど、新たなプログラムの開発・提供を続けています。